国民年金保険制度は、日本国憲法第25条第2項の理念に基づき、老齢、障害、死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持、向上に寄与することを目的とします。
日本国憲法第25条第2項;
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
保険事故として長期にわたって国民に所得の喪失をもたらす老齢による収入減、又は心身障害による収入困難、生計中心者の死亡による遺族の収入の途絶に対して年金の形で所得を保障する制度です。
国民年金法は、それまで年金が適用されていなかった自営業者、零細企業労働者等を対象に昭和34年11月に施行されました。
施行と同時に満70歳を超えている者に無拠出型の老齢福祉年金の支給を開始されました、
昭和36年4月から拠出型年金がスタートしました。
その後、昭和61年4月より制度が大きく変わり、全国民が国民年金の適用を受けることになりました。
現行制度では、厚生年金保険に加入している者はすべて国民年金にも加入していることになります。
昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの国民年金法を旧法、昭和61年4月1日から施行されたものを新法といいます。
●概要
・厚生年金保険や共済年金被保険者を含め全国民が適用を受けます。
・老齢、障害、死亡に対して必要な給付が行われます。
・原則として、満20歳から満60歳まで40年間保険料を納付すると、満65歳から老齢給付(老齢基礎年金)を受けることができます。
・老齢基礎年金を受けるためには保険料を納付した期間が25年以上必要です。
・40年間保険料を納付した者は792,100円(平成18年度)の老齢基礎年金を受けることができます。
・保険料納付済期間が短い(40年に満たない)と老齢基礎年金額は減額されます。
●基礎年金
国民年金は老齢、障害、死亡について、すべての者に共通する基礎年金を支給します。
民間サラリーマンは基礎年金である国民年金に厚生年金が上乗せ給付として支給されます。
同様に、公務員(国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合)は基礎年金である国民年金に共済年金が上乗せ給付として支給されます。
私立学校の教職員(日本市立学校振興・共済事業団)も同様です。
自営業者やサラリーマンの配偶者は、基礎年金である国民年金だけの加入になります。
●保険者
国民年金事業は政府が管掌します。
国民年金事務は社会保険庁長官が行います。
一部は共済組合等に行わせたり、市町村長(特別区の区長を含む)が行うこととすることができます。
具体的な事務;
・社会保険庁長官:国民年金原簿の管理、裁定、国民年金手帳の作成・交付等
・市町村長:届出の受理・審査・報告等
●被保険者
原則として社会保険方式をとり、一定の法定要件に該当する者はすべて強制的に被保険者とされ、保険料の納付義務を負わされます。
これらの者に老齢、障害、死亡といった事故が発生した場合には、保険料の納付実績に基づいて給付を行うという仕組みです。
国民年金の被保険者には、強制加入被保険者と任意加入被保険者があります。
強制加入被保険者は、さらに第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者に区分されます。
それぞれについて、国内居住要件、年齢要件、資格得喪の時期が異なります。
・第1号被保険者
第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号被保険者及び第3号被保険者以外の者をいいます。
自営業者、農林漁業従事者、国会議員・地方議員とその配偶者、20歳以上の学生等が該当します。
国籍要件はありませんので、日本国籍を有しない者でも要件に該当すれば第1号被保険者になります。
ただし、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法に基づく老齢給付等を受けることができる者を除きます。
・第2号被保険者
第2号被保険者は、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法の被保険者、組合員、加入者をいいます。
第1号被保険者のように国内居住要件や年齢要件を問いませんので、20歳未満であっても就職したときは被保険者となります。
ただし、65歳以上の被保険者等で、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金等の受給権を有する者は第2号被保険者とはしません。
・第3号被保険者
3号被保険者は、第2号被保険者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の者をいいます。
第2号被保険者の配偶者自身が厚生年金保険等の被用者年金各法の被保険者である場合は、所得に関係なく第3号被保険者ではなく第2号被保険者になります。
・被保険者から除かれる者
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第1号被保険者の要件に該当した場合でも次の者は第1号被保険者にはなれません。ただし、第2号、第3号被保険者に該当する場合は第2号、第3号被保険者になることはできます。
厚生年金保険法等の被用者年金各法に基づく老齢給付等の受給権者:老齢又は退職を支給事由とする年金給付を実際に受給している者
外国法令適用者:国民年金法による年金給付に相当する給付を行うことを目的とする外国法令の適用者
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・任意加入被保険者
次のいずれかに該当する者は、原則として適用除外となりますが、社会保険庁長官に申し出て被保険者になることができます。
任意加入被保険者となることができる者;
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができる者
日本国内に住所を有する60歳以上65台未満の者
日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上60歳未満の者
<任意加入被保険者の特例>
次のいずれかに該当する者(第2号被保険者を除く)で、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金の受給権を有しない者は、社会保険庁長官に申し出て国民年金の被保険者になることができます。
・ 昭和30年4月1日以前生まれで、日本国内に住所を有する、65歳以上70歳未満の者
・ 昭和30年4月1日以前生まれで、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しない、65歳以上70歳未満の者
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任意加入被保険者制度は、60歳に達したときに老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない者を受給できるようにすることが可能で、満額の老齢基礎年金に近づけることができます。
日本国内に住所がなくても任意加入により帰国後受給権に結びつけることができるなどの意義があります。
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任意加入被保険者としての被保険者期間は、第1号被保険者としての被保険者期間とみなします。
ただし、任意加入被保険者は、保険料の法定免除及び申請免除は適用されません。
また、任意加入被保険者は、いつでも、社会保険庁長官に申し出て被保険者資格を喪失することができます。
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・国民年金に加入していた人が厚生年金や共済組合に加入した場合、切り替え手続きは基本的に勤め先の事業所で行います。
扶養している配偶者がある場合、その人は第3号被保険者となります。
・会社などを60歳前に退職し、厚生年金や共済組合の加入者でなくなったときには、国民年金に加入しなければなりません。
なお、60歳前の扶養している配偶者がある場合、その配偶者も切り替えの手続きが必要となります。
・国民年金に加入している人が、厚生年金や共済年金に加入している人と結婚し、扶養家族になったときには第3号被保険者となりますが、自動的になれるのではなく、手続きが必要となります。
第3号被保険者の保険料は、配偶者が加入している年金制度全体で負担することになりますので、自分で納める必要はありません。
・第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の妻(夫)が、「配偶者が会社を退職した」、「本人の収入が増えて扶養からはずれた」、「離婚した」などの理由で、扶養家族でなくなった場合には、第3号被保険者の資格がなくなります。
切り替えの手続きが必要です。
・サラリーマンなどに扶養されている第3号被保険者は、配偶者の勤務する会社が変わった場合は、資格変更の手続きが必要です。
そのままにしておくと、資格を失うことがあります。
●保険料
国民年金の保険料は、収入や年齢に関係なく一定です。
保険料は、第1号被保険者に該当する人で、送られてくる納付案内書に基づいて、市町村役場または指定する場所に、自分で保険料を納めます。
金融機関の口座から自動的に引き落とし可能な口座振替も利用できます。
金額は5年に1度の財政再計算の年に法定額が決められ、基礎年金の給付の増加に対応するために毎年、物価スライド率を考慮して決定されます。
国民年金の保険料は定額で、平成18年4月より、月額13,860円となっています。
(平成17年4月〜平成18年3月までは月額13,580円)
●給付
国民年金は、保険事故が生じた場合に必要な給付を行います。
保険事故;
・老齢基礎年金 国民年金に加入して受給資格期間を満たした人が原則として65歳になったときに受けられる年金で、老齢基礎年金及び付加年金が支給されます。
・障害基礎年金 国民年金加入中に病気やけがで障がいが残ったときや20歳前の病気やけがによって一定の障害の状態になったときに受けられる年金でで、障害基礎年金が支給されます。
・死亡基礎年金 受給資格(原則として25年)を満たした人が死亡したときその人に生計を維持されていた「子のある妻」または「子」に子が18歳に達した年度末まで(障害のある子の場合は20歳になるまで)支給される年金で、年金遺族基礎年金、寡婦年金及び死亡一時金が支給されます。
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年金は、受給資格があっても自分で請求をしないと受けることができません。
国民年金(第1号)だけに加入していた人は、65歳の誕生日が過ぎてから老齢基礎年金の請求手続きをしてください。
65歳になる前でも繰上げ請求といって60歳から請求ができますが、この場合は請求した時の年齢に応じて一定の割合で減額されます。
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65歳からの年金額を20歳から60歳まで40年間保険料を納めて満額792,100円受けるものとして、保険料納付期間との関係で計算します。
本人が希望すれば60歳からでも受けることができます。
この場合、受ける年金額が65歳から受け始める年金額に比べ減額されます。
減額率は、受給を希望し請求した月から65歳になる月の前月までの月数に応じて1ヶ月減るごとに0.5%ずつ低くなります。
減額は一生続きますので注意が必要です。
ただし、昭和16年4月1日以前に生まれた人は、60歳で受け始めた場合は42%、61歳では35%、61歳では28%、63歳では20%、64歳では11%の減額となります。
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老齢基礎年金の受給権者が付加保険料を納付している場合は、老齢基礎年金受給の際に、付加保険料を納付した月数に応じた付加年金が支給されます。
付加年金と寡婦年金及び死亡一時金は国民年金の第1号被保険者に対する独自給付です。
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<保険料納付済期間>
保険料納付済期間とは、次の被保険者期間を合算した期間といいます。
この期間によって国民年金の受給金額が変わります。
・第1号被保険者(自営業者等)期間のうち保険料を納付した期間
督促及び滞納処分により徴収された期間を含む。
保険料半額免除の規定により半額を納付することを要しないものとされた期間のうち残りの半額のみを納付した期間を除く。
・第2号被保険者としての被保険者期間
・第3号被保険者としての被保険者期間
<保険料免除期間>
保険料免除期間とは、保険料全額免除期間と保険料半額免除期間とを合算した期間をいいます。
保険料全額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって、法定免除、申請免除、学生納付特例の規定により納付することを要しないとされた期間(追納された期間を除く)をいいます。
保険料半額免除期間とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって、保険料半額免除の規定により半額を納付することを要しないとされた期間(残りの半額を納付した期間に限る、追納された期間を除く)をいいます。
保険料全額免除期間は、老齢基礎年金に関しては保険料納付済期間の3分の1,保険料半額免除期間は3分の2に相当するものとして計算します。
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