労働者派遣は、雇用形態の一つで、事業主=派遣元が自分が雇用する労働者を自分のために労働させるのではなく、他の事業主=派遣先に派遣して派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働させるものです。
派遣受け入れ企業は、自社では雇用が難しい特殊な人材の利用が可能で、経営的側面から、人件費を固定費としてではなく変動費として計上することが可能となります。
また、労働力を必要な時に、必要な分だけ、確保する事が容易になり、自社の正社員採用にともなって発生する不適切な人材の採用等のリスクが減らせます。
派遣労働者は、勤務先の業種、職種、勤務地、禁煙環境、残業時間長短などを選定することが可能です。
また、ある期間に限った就労が可能なため、数ヶ月〜数年以内先の生活設計が立てやすくなります。
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●契約と待遇
・派遣期間
政令で定めた26業種以外は臨時的・一時的業務として上限が3年です。
同一の労働者を1年を超えて雇用した場合、派遣期間が終了し、引き続き同一業務に労働者を従事させるためには、派遣先がその期間従事していた労働者を雇い入れる努力義務があります。
また、派遣受入期間制限に抵触する日以降も派遣労働者を使用とする場合は、派遣先は、そ
れまで働いてきた労働者に直接雇用の申込をしなければなりません。
・契約内容と実際の業務が違う
労働契約の締結にあたり、派遣法で、派遣元は、派遣労働者が派遣就業を始める前に、派遣
先での就業条件を書面で明示しなければならないと定めています。
派遣先は明示された就業条件を超えて指示を出すことはできませんし、派遣労働者は、就業条件明示書で示された業務内容以外の仕事を命じられても、これに従う義務はありません。
これが度々起るようであれば、派遣元責任者に申立てて、派遣先に申入れてもらいます。
・時間外・休日労働
労働時間は、1週40時間、1日8時間(法定労働時間)が原則です。
派遣労働者に残業や休日労働をさせるためには、まず、派遣元が労働者と36協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。
また、派遣元は、派遣先での就業条件を就業条件明示書等によって、あらかじめ派遣労働者に明示しなければなりません。
派遣労働者に残業や休日労働をさせるためには、この就業条件明示書等で時間外・休日労働の無を定めておく必要があります。
残業はないという条件で労働契約を結んだ場合には、派遣先は残業を命じることはできませんし、派遣労働者も残業を命じられた場合にはこれを拒否することが可能です。
派遣先が派遣労働者に残業や休日労働をさせた場合には、派遣元は、割増賃金を支払わなければなりません。
また、派遣労働者の判断で残業した場合であっても、派遣先が業務上必要なものであると判断し、黙認した場合には、時間外労働として認められます。
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厚生労働省の通達(昭和25年9月14日基収2983号)
「使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内に処理できないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合には、時間外労働となる。」
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残業をした場合には、派遣元への申告を行い、念のために労働者も実績を記録した方が良いでしょう。
・年次有給休暇
登録型派遣の場合、雇用契約期間の全期間を通じて、実態として継続して勤務していると判断され、それが6ヶ月を超えた場合、年休が付与されます。
請求は派遣元に対して行ないます。
派遣先の事業に支障が出る場合でも、派遣元と派遣労働者との間では事業運営に支障のないこともあり得るので、派遣元は代替労働者の派遣可能性も含めて判断します。
従って、派遣先業務が多忙という理由で、派遣元は請求を拒否することはできません(時季変更権はあり)。
・労災保険
労災保険への加入は、事業主や労働者の意思にかかわらず、労働者を一人でも雇用するすべての事業主に義務付けられています。
労災保険の保険料は、事業主だけが負担することになっており、労働者は負担する必要はありません。
派遣労働者が労働災害に遭ったときには、労働者本人又は遺族は速やかに派遣元に連絡して、労災保険給付の手続きを行ないます。
労災保険給付の手続きは、派遣元が代行することもありますが、派遣元の協力が得られなかったり、あるいは派遣元が労災保険料を納めていなかった場合には、直接、労働基準監督署に申請書を提出することができます。
・雇用保険
登録型派遣労働者の場合、同一の派遣元から反復継続して、1年以上派遣就業することが見込まれる場合には、雇用保険の適用対象となります。
具体的には、反復継続(1年以上)して派遣で働いていること、家計補助的な者でないこと(=扶養家族になっていないこと)、所定労働日、労働時間が極めて短い労働者でないこと、の条件をクリアする必要があります。
雇用保険への加入は、原則的には労働者を一人でも雇用する事業に適用され、適用事業で働く労働者は本人が加入を希望するか否かにかかわらずすべて被保険者となります。
雇用保険料は、労働者の月収に保険料率(一般の事業の場合は千分の17.5)をかけたもので、このうち被保険者負担分は千分の7となっています。
・健康保険と厚生年金保険
社会保険への加入は、労働者を一人でも雇っている法人の事業所(強制適用事業所)すべてに適用されます。(なお、個人の事業所は一部、任意適用になっています。)
強制適用事業所で働く労働者は、本人が加入を希望するか否かにかかわらず、すべて被保険者となります。
加入要件を満たしていると、事業所や労働者の意思にかかわらず加入することが義務けられています。
・退職
登録型派遣労働者の場合、派遣元と派遣労働者が派遣期間を定めたうえで派遣労働契約を結びますので、派遣元も派遣労働者も、その契約期間を誠実に守る義務があります。
派遣期間の満了前に退職することは、契約違反になりますので、派遣労働者は勝手に退職することはできません。
就業規則等に契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には、それに従って退職することになりますが、特段の定めがない場合にも、なるべく合意解約ができるように、十分話し合うことが大切です。
残念ながら派遣元の理解が得られなかった場合であっても、やむを得ない事情があるときには労働契約の解除を申し入れることができますが、それが労働者の一方的な過失による場合には、派遣元から損害賠償請求をされる可能性があります。
もし、損害賠償請求をされた場合は、その請求内容が適切なものか、損害賠償に応じるべき範囲など、お互いに納得できるまで十分に話し合うことが必要です。
なお、あらかじめ明示されていた労働条件と実際の労働条件とが異なっていたことを理由に、労働者が退職を申し出る場合には、雇用契約をただちに解除することが認められています。
・解雇・中途解約
解雇は、会社の意思で労働契約を終了させる行為ですが、いつでも自由に行えるというものではありません。
使用者が労働者を解雇しようとする場合には、合理的な理由がなければなりません。
合理的な理由とは、「誰が見ても解雇にせざるを得ないほどの甚大な理由」をさします。
単に「能力が足りない」「社風に合わない」などという理由だけでは解雇は認められません。
登録型派遣労働者の場合も、雇用期間が2カ月を超える場合には継続的な雇用関係があるとみなされ、合理的な理由がある場合でも、解雇日の30日前までに予告するか平均賃金30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です。
また、派遣先から派遣契約を中途解約されても、派遣元との雇用契約は続き、即座の解雇はできません。
派遣元は雇用契約期間中は次の派遣先を提供する義務があります。
提供できず、派遣労働者が働く意思があるにもかかわらず働けなかった場合は、派遣元は賃金を全額払う義務があります。
争いになった場合でも労基法26条により休業補償(平均賃金の6割)は必要です。
・苦情
派遣元、派遣先の苦情処理担当者の氏名は、就業条件明示書に記載されています。
苦情がでた場合、派遣元と派遣先とは連携を取り、対応しなければなりません。
セクシュアル・ハラスメントの場合、派遣元・先ともに対応する義務があります。
・労働組合加入
派遣労働者も一般の労働者と同様に、労働組合をつくること、労働組合に加入すること、労働組合として派遣元と団体交渉(労働組合と会社との話し合い)すること、要求内容を実現するためにストライキなどを行う権利が憲法で保障されています。
派遣元に労働組合がない場合は、派遣労働者が自ら労働組合を結成し、派遣元と団体交渉することができます。
また、同じ職種の派遣労働者がまとまって労働組合を結成したり、職種別・職能別の労働組合や、個人で加入できる労働組合に加入することにより、その労働組合から会社へ団体交渉を申し出ることが可能です。
団体交渉は原則として派遣元と行うことになります。
派遣元は正当な理由なしに団交を拒否したり、正当な労働組合活動をしたことにより解雇するなどの不利益取扱いをすることはできません。
テーマ : 人事労務 - ジャンル : ビジネス