解雇についての概要です。
●解雇とは
解雇とは、企業の一方的な意思によって従業員を辞めさせることです。
使用者と労働者の合意で結ばれた雇用契約を使用者側が解約することを解雇といい、労働者側が解約する退職と区別します。
解雇に関しては、労働基準法に規定があります。
・期間を定めていない雇用契約は、30日前までに予告をすれば解約できることを定めています。
・社会的身分などを理由とした解雇や、労働基準監督署への申告を理由とする解雇などは禁止されています。
・客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となります。
・使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。
・30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
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労働基準法第18条の2;
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
労働基準法第19条;
「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。」
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労働基準法の禁止条項に抵触しない限り、使用者は自由に解雇できることになります。
そこで、最高裁判所は、合理的な理由がなく社会通念に照らして許すことのできない解雇について、解雇権の濫用であって無効となるとの判断を示しています。
その結果、企業は従業員の解雇に慎重になると同時に、あいまいな解雇基準をめぐる労使間の対立が長期化するという弊害も出ている。
●解雇の種類
解雇は、その理由によって、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇があります。
・普通解雇は、整理解雇、懲戒解雇以外の解雇です。
使用者側の理由であれ労働者側の理由であれ、これ以上、継続的な契約は履行できないとして、労働契約を解消することです。
主たる理由は、職務遂行能力がないという能力不足、けがや病気で当初の約束通り働くことができない、協調性がなく他の従業員と円滑に仕事することができない、出勤不良、勤務態度不良・企業秩序違反などです。
勤務態度不良や軽微な企業秩序違反がみられても、一度だけでは解雇事由になりません。
何回も繰り返され、その積み重ねによって業務遂行上、問題が生じるような場合に解雇事由となります。
・整理解雇は、人員整理等経営上の理由による解雇です。
整理解雇は、労働者に落ち度もなく解雇されることから、効力の判断として次の4つの要件を挙げています。
人員削減の経営上の必要性
整理解雇回避努力義務の実行の有無
合理的な整理解雇基準の設定と、公正な適用
労使間での協議義務の実行
・懲戒解雇は、企業秩序に違反した等の理由による懲戒処分としての解雇です。
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次の場合は解雇が禁止されています。
・業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間
・産前産後の女子が労基法65条によって休業する期間及びその後30日間
・労働者の国籍信条または社会的身分を理由とした解雇
・労働基準監督署等へ会社の労基法違反について申告したことを理由とする解雇
・労働者が女性であること、または女性が婚姻・妊娠・出産をしたことを理由とする解雇
・労働者が育児・介護休業をしたことを理由とする解雇
・労働者が労働組合に関する活動をしたことを理由とする解雇
・労使協定の過半数代表者になること、なろうとしたことを理由とする解雇
・ADR法に基づく援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇
・企画業務型裁量労働制の労使委員会の労働者委員になることを理由とする解雇
・一般派遣業務の意見聴取等の労働者の過半数代表者になることを理由とする解雇
・公益通報を理由とする解雇
・妊娠中・産後1年以内の解雇
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●懲戒解雇
懲戒解雇は、使用者が労働者に対し、秩序罰として労働契約を解消する行為です。
・原則として極めて軽微なものを除き、事業内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合
・ 一般的にみて『きわめて軽微』な事案であっても使用者があらかじめ不祥事の防止について手段を講じていたことが客観的認められ、しかも労働者が継続的または断続的に盗取、横領、傷害等の刑法犯またはこれに類する行為を行った場合
・事業外で行われた窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であって、それが著しい事業場の名誉もしくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの、または労使間の信頼関係を喪失すると認められる場合
・ 賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合、またこれらの行為が事業場以外で行われた場合であっても、それが著しく事業上の名誉若しくは信用を失墜するもの、取引関係に悪影響を与えるもの、また労使間の信頼関係を喪失すると認められる場合
・雇い入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇い入れの際使用者の行う調査に対し、不採用となるような経歴を詐称した場合
・他の事業へ転職した場合
・原則として2週間以上正当な理由なく無断欠席し、出勤の督促に応じない場合等
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単なる債務不履行によって解雇するのではなく、企業秩序違反を理由に罰として解雇することになります。
懲戒を与えるには労働者の同意が必要とされます。
一般的には労働契約時に労働者から誓約書(包括同意)をとる形で行われます。
懲戒解雇される場合は解雇予告も解雇予告手当の支払いもなく即時になされ、退職金も全部または一部が支給されないというようなことがあります。
けれども、その懲戒処分に合理性があっても、自動的に解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要になるわけではありません。
労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ける必要があります。
退職金不支給も就業規則など明記してそのことが労働契約の内容となっている場合に始めてできるものです。
また、その不支給の規定が行為の程度と退職金不支給の程度を比較して合理的かどうかという問題もあります。
●解雇の手続き
解雇の意思表示の方法は特に法律上何らの規定もおかれていません。
口頭で申し渡しても、文書で通知しても差し支えないわけです。
ただ、いずれの方式をとっても被解雇者が確実に了知し、また知りえる状態にしなければなりません。
解雇は、労働者にとって深刻な影響を与えるので、よく法律上の争いとなります。
したがって、解雇通知も後日争いとなることを予想して、確実、しかも証拠関係を明らかにしておくことが必要です。
一般には文書で通知する方法がとられています。
口頭通知の場合は、誰か立会人をおくとよいし、郵送の場合は、配達証明の手続きをとっておくと一層確実だといえます。
労働者を解雇する場合は、少なくとも解雇しようとする日の30日前に解雇日を特定して通知する必要があります。
解雇予告がされても解雇日までは、従来の労働関係が継続していることになります。
解雇予告に代えて30日分以上の平均賃金=解雇予告手当を支払えば即時解雇することが認められます。
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労働基準法第20条;
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。」
労働基準法第21条;
「前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 2箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者」
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この予告日数と予告手当の関係は部分的でも行うことができます。
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