いわゆる退職金には役員退職金と従業員退職慰労金があり、両者で性格が異なっています。
●役員退職慰労金
役員退職慰労金について法律上の定義はありませんが、一般的には取締役又は監査役が任期満了又は辞任等の理由によって退任した場合に支払われる金銭をいうものとされます。
在任中の会社への貢献・功労をねぎらう意味で、取締役や監査役に支給されるものですが、お手盛りの危険があるため、金額、支払時期、方法などについては会社の定款に定めるか、株主総会の決議によらなければならない、とされています。
具体的な支給手続き;
まず取締役会で退任する役員に退職慰労金を支払うか否かを協議します。
次に株主総会を開催し、取締役会へ具体的金額、時期、方法などの決議を一任します。
社内規定などの内規がない場合は、株主総会で具体的金額を提示して決定することもあります。
金額の算定式は各社各様ですが、退任時の最終月額報酬や在任年数に、役職に応じた功績倍率を掛け合わせて算出するのが一般的なようです。
また、類似会社の役位別1年当たりの平均退職金に在任年数を掛ける方式を採用する企業もあります。
最近では、株主が退職慰労金の支払いに反対するケースが増えています。
退職慰労金の廃止を打ち出す企業が増えてきました。
●従業員退職金
従業員退職金については、長期間の労働、在籍中の貢献の労をねぎらうほうびとする功労報奨説、生活の糧である賃金収入を企業が社会的な責任としてカバーする生活保障説、在籍中に支給すべき賃金の一部を退職時に回したものとする賃金の後払い説があります。
退職金の支給や支給基準が、労働協約や就業規則や労働契約で定められている場合は、賃金の一部後払いとしての性格があり、使用者には支払い義務、労働者には請求する権利があります。
また、懲戒解雇の場合は退職金が減額もしくは不支給になる場合が多く、賃金の一部後払いとしての性格とともに、功労への報奨としての性格も合わせて持っています。
なお、最近では退職金制度を選択するかそれとも退職金をやめ、その分を賃金に上乗せする制度を選択させる企業も出ています。
----------
●退職金の支払い
一般的に、自己都合退職の場合は金額が低く、会社都合の場合は金額が多くなります。
退職金は、労働者もしくはその遺族の請求があってから7日以内に支払わなければなりません。
ただし就業規則で支払い時期が定められている時は、その定めによることになります。
----------
労基法第23条;
「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
2 前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。」
----------
●支払いの遅延
退職金の支払いが遅れると、翌日から遅延損害金が発生します。
営利企業の場合年6%、使用者が営利企業や商人でない場合は5%の法定利率となります。
----------
商法第514条;
「商行為ニ因リテ生シタル債務ニ関シテハ法定利率ハ年六分トス」
民法第416条;
「損害賠償ノ請求ハ債務ノ不履行ニ因リテ通常生スヘキ損害ノ賠償ヲ為サシムルヲ以テ其目的トス
特別ノ事情ニ因リテ生シタル損害ト雖モ当事者カ其事情ヲ予見シ又ハ予見スルコトヲ得へカリシトキハ債権者ハ其賠償ヲ請求スルコトヲ得」
民法第404条;
「利息ヲ生スヘキ債権ニ付キ別段ノ意思表示ナキトキハ其利率ハ年五分トス」
----------
●消滅時効期間
退職金支払請求権の消滅時効期間は5年間(労基法115条)です。
----------
労働基準法第115条
「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」
テーマ : 人事労務 - ジャンル : ビジネス