確定給付企業年金は、現状の企業年金について受給権の保護等を目的として新たに平成14年4月に創設されました。
厚生年金基金について、代行を行わない新企業年金への移行が認められます。
代行返上の際には、一定の条件の下に現物による返還が認められます。
適格退職年金については、経過措置を講じて、10年以内に企業年金制度等へ円滑に移行できるようにされます。
確定給付企業年金は給付額が決定している3形態の企業年金で、拠出した掛金の累計額とその運用収益で、あらかじめ年金額が決定されています。
特に、規約型年金は適格退職年金を移行するためのスキームとして考えられており、適格年金の廃止による場合には、制度設計上さまざまな特例が設けられています。
・これまでの積立不足(過去勤務債務)については、法的にも特にその解消は求められておらず、積立不足の状態であっても積立金そのものを移換すれば良いものとされています。
・移換後の積立不足についても、適格退職年金での未償却の過去勤務債務があれば、本来20年となる償却期間が30年に延長されるなどの特例措置があります。
●税制
積立基準、受託者責任、情報開示等統一的な基準を定め、これを満たすものについて承認を行い、あわせて税制措置の整備を行います。
・拠出時: 事業主拠出は損金算入、本人拠出は生命保険料控除の対象になります。
・運用時: 特別法人税を課税します。
・給付時: 年金の場合は公的年金等控除の対象とし、一時金の場合は退職所得課税が適用されます。
●形態
企業年金として新たに2形態の基本的な枠組みが設定され、厚生年金基金と合わせて3つの企業年金となりました。
・規約型企業年金
労使合意の年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社等が契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理運用し、年金給付を行います。
外部機関で積立を行うことになり、加入者数の要件はありません。
・基金型企業年金(企業年金基金)
母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行う企業年金です。
厚生年金の代行は行わず、外部機関で積立を行うことになり、加入者数の要件は300人となっています。
・厚生年金基金
母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において、厚生年金の代行部分も含んだ年金資金を管理・運用し、年金給付を行う企業年金です。
●保護
・将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積立基準を設定します。
・企業年金の管理・運営に関わる者の責任、行為準則を明確化にします。
・事業主等は、年金規約の内容を従業員に周知し、財務状況等について加入者等への情報開示を行います。
●開始
・企業年金を実施しようとする企業は、労使の合意に基づき、制度の内容を規定した年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認(基金の場合は基金の設立認可)を受ける。また、複数企業により、規約を定めることができるものとされます。
・規約型の場合は、企業は、掛金の払込み及び積立金の管理などに関する契約を信託会社・生命保険会社等と締結しなければなりません。
●対象
厚生年金適用事業所の被保険者等です。
●資格
・年金規約において、加入者資格を定めることができます。
その場合、加入者資格は特定の者について不当に差別的なものであってはなりません。
●給付
加入者等の老齢を事由に、年金給付を行うものとします。
年金給付は、支給開始年齢から少なくとも5年にわたって支給するものとします。
支給開始年齢は、原則として、60歳から65歳の範囲で年金規約に定めるものとします。
年金給付の受給資格期間は20年を超えてはなりません。
本人の選択により、年金給付に代えて一時金を支給することができます。
加入期間が3年以上の者については、年金給付が受けられない場合、脱退一時金を支給するものとします。
加入者等が高度障害又は死亡した場合には、それぞれ障害給付又は遺族給付を行うことができます。
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年金給付及び一時金の額は、定額又は給与及び加入期間その他合理的な基礎に基づいて算定されるものでなければなりません。
給付は、加入年数や給与等に照らし、特定の者について不当に差別的なものであってはなりません。
●掛金
事業主は、年金給付及び一時金たる給付に要する費用に充てるため、掛金を拠出しなければなりません。
掛金は、事業主負担を原則とし、本人拠出については、年金規約で定める場合に、加入者本人の同意を前提として可能とします。
●運用
年金資産の運用は、安全かつ効率的に行われなければなりません。
資産運用は、原則として、信託会社、生命保険会社、投資顧問業者等が行います。
資金の管理運用の体制が整っていること等の条件のもとに、基金は自ら資産運用を行うことができます。
●終了
制度は、次の場合に終了します。
・事業主と加入者等が、制度の終了について一定の手続きを経て合意し、厚生労働大臣の承認を得た場合
・母体企業の破産等により継続不能となった場合
・厚生労働大臣が規約の承認又は基金の設立認可を取り消した場合
なお、残余財産は加入者等に分配し、事業主への返還は認められません。
●義務
事業主等は、将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積立を行わなければならなりません。
企業年金は、少なくとも5年に1度、将来にわたって年金財政の均衡が図られるよう財政再計算を行います。
企業年金は、各事業年度末の決算において、年金財政が予定通り推移しているかどうか、仮に今、企業年金が終了した場合に、過去期間分の給付に見合う資産が確保されているかどうかを検証します。
積立不足が生じた場合には、一定期間内に不足が解消されるように掛金を拠出しなければなりません。
積立金に剰余が生じた場合には、財政運営の安定を図る観点から、制度内に留保するものとし、事業主への返還は行いません。
なお、積立金が、運用環境等の変化に備えて安全を見込んで設定する一定の限度を超えた場合には、超過額に応じて、掛金を減額又は停止するものとされます。
加入者数が一定以下の企業年金については、事務負担の軽減等の観点から、選択肢として、財政再計算等のための簡易な基準が設定されます。
加入者等の受給権保護を図る観点から、事業主等企業年金の管理・運営に関わる者について、加入者等に対する忠実義務、分散投資義務などの責任を規定するとともに、利益相反行為の禁止などの行為準則を明確化します。
●移行
規約型、基金型、厚生年金基金各制度間で、制度を移行し、年金資産を移換することができます。
厚生年金基金から規約型、基金型へ移行する場合、代行部分については、一定の条件の下に現物による返還が認められます。
規約型、基金型の年金資産を個人ごとに分配し、確定拠出年金(企業型)へ移換することができます。
テーマ : 企業経営 - ジャンル : ビジネス